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Channel: 灰皿猫の日々是放言暴言ブログ~難癖・厭味が怖くてブログが書けるか!!~
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2月19日の「日本の昔話」

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広島ブログ


                                                                 ふたを取らずに

 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。

 ある日の事、お金持ちの加平(かへい)さんが『ごちそうをしますから』と、一休さんを家に呼びました。
 一休さんが喜んで加平さんの家に行ってみると、おぜんにはたくさんのごちそうが並んでいました。

長ーい文字

「これはすごい。では、いただきます」
 一休さんがおはしを持って、おわんのふたを取ろうとした時です。

長ーい文字

「一休さん。そのおわんは、ふたを取らないで食べて下さい」
と、加平さんが一休さんに言ったのです。
 それを聞いた一休さんは、ピーンと来ました。

長ーい文字

(ははーん。わたしのとんちを、試そうとしているのだな)
一休さんはニッコリ笑うと、
「では、お汁はあきらめて、他のごちそうをいただきましょう」

長ーい文字

と、おわんには手をつけずに、他のごちそうだけを食べていきました。
 すると加平さんは、
「一休さん。
 そのおわんには、本当においしいお汁が入っています。

長ーい文字

 是非とも、召し上がって下さい」
と、言うのです。
 そこで一休さんは、こう言いました。
「せっかくのお汁も、すっかり冷めてしまいました。

長ーい文字

 すみませんが、おわんのふたを取らないで温かい物と取り替えて下さい」
「・・・・・・」
 おわんのふたを取らずに、中のお汁を取り替える事は出来ません。
 でもそれを言うと、『そのおわんは、ふたを取らないで食べて下さい』と言った、加平さんの言葉が間違っていた事になります。
 これを聞いた加平さんは思わず手を打って、一休さんに頭を下げました。
「いや、これは参りました。
 あなたは、うわさ通りのとんちの持ち主ですなあ。
 おわんの中身は、ふたを取って温かい物と取り替えてきますので、どうぞ一休さんも、ふたを取って召し上がってください」

 この事がみんなに知れ渡り、一休さんのとんちはますます評判(ひょうばん)になりました。

おしまい


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