むかしむかし、村の息子がお嫁さんをもらいました。
働き者でかわいいお嫁さんなので、息子もお母さんも大喜びです。
ところがそのうち、お嫁さんの元気がだんだんなくなってきました。
心配したお母さんがたずねてみると、お嫁さんははずかしそうに言いました。
「実は、へをがまんしていて、お腹が痛いのです」
「へ? あははははっ。なんだ、そんな事なら遠慮(えんりょ)しないで、さあ、おやりよ」
するとお嫁さんは、着物をサッとまくって言いました。
「では、いきます」
ブッホーーーーン!
「ヒャアアアー! 助けてー!」
なんと、への勢いで、お母さんは吹っ飛ばされてしまいました。
怒ったお母さんは、息子に言いました。
「こんな嫁は、追い返しておしまい!」
そこで仕方なく、息子はお嫁さんを実家まで送ることにしました。
その途中の山道で、カキの実を取っている旅人がいました。
でもカキの実は高いところにあるので、どうしても手が届きません。
「それなら、わたしにまかせて」
お嫁さんは着物をまくって、お尻をカキの木に向けると。
「では、いきますよ」
ブッホーーーーン!
カキの木はユラユラゆれて、カキの実がたくさん落ちてきました。
喜んだ旅人は、お礼にたくさんのお金をくれました。
へでお金がもらえるなんて、息子はびっくりです。
「こんなに役に立つ嫁さんは、返すのがもったいない」
息子はお嫁さんを連れて、また村に帰りました。
そして息子は、お嫁さんが遠慮なしにへが出来るところを作ってやりました。
それが、「へや」の始まりだそうです。
おしまい