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Channel: 灰皿猫の日々是放言暴言ブログ~難癖・厭味が怖くてブログが書けるか!!~
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6月19日の「日本の昔話」

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広島ブログ


                                     竹の子のおとむらい

 

 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 一休さんのお寺の竹やぶの隣にはお屋敷があり、最近、お侍が引っ越してきました。

 ある日の事、一休さんが庭そうじをしていると、

たけのこのおとむらい

 隣の侍が竹の子の皮をザルに入れてきて、こう言ったのです。

たけのこのおとむらい

「こやつらは、わしの屋敷にあいさつもなしに生えてきよった。
 武士の屋敷に勝手に入るとは、まこと無礼な奴。

たけのこのおとむらい

 よってこのわしが、刀にかけてやった。
 無礼者の体は、このわしがとむらってやる。
 だから残った着物は、お前のところに返してやろう」

たけのこのおとむらい

 それを聞いて一休さんは、腹を立てました。
(お寺の竹の子をひとりじめして、いらない皮だけ持って来るなんて! ようし、みていろ)

 一休さんがお侍の屋敷に行くと、ちょうど竹の子がゆであがるところでした。
 一休さんは、ぺこりと頭を下げて、侍のところへ行くと言いました。

たけのこのおとむらい

「お侍さま。たとえ竹の子であっても、命ある物はお経をあげてとむらってやらねばなりません。
 ですから、この竹の子の体を、お寺に持って帰りますね」

たけのこのおとむらい

「なぬっ?」
「それともお侍さまが、竹の子の為にお経をあげてくださいますか?」
「いや、それは・・・」
 お侍はお経の言葉を知らないので、仕方なくゆであがった竹の子を一休さんに差し出して言いました。
「わかった。持って帰るがよい。

たけのこのおとむらい

 ・・・そうか、お前があの一休だな」

 こうしてゆでた竹の子を手に入れた一休さんは、お寺で簡単なお経をあげると、

たけのこのおとむらい

 あとはみんなでおいしく食べたのでした。

おしまい


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