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Channel: 灰皿猫の日々是放言暴言ブログ~難癖・厭味が怖くてブログが書けるか!!~
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3月6日の「日本の昔話」

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広島ブログ


                                                  運の良い鉄砲打ち

 むかしむかし、とても腕の良い鉄砲打ちがいました。
 ある時、鉄砲打ちが山へ出かける仕度をして家を出ようとすると、うっかり手が滑ってしまい、大切な鉄砲を石の上に落としてしまいました。
「ああ! 鉄砲の先が曲がってしまった。・・・でもまあ、鉄砲の先が曲がっても、何か取れるだろう」
と、そのまま曲がった鉄砲を持って、猟に出かけました。
 鉄砲打ちが出かけた山には大きな池があり、その池にはカモがいて、あちこちで羽を休めています。
「ひい、ふう、みい・・・」
 数えていくと、全部で十六羽います。
「まあ、これだけいれば、曲がった鉄砲でも一羽ぐらいは取れるだろう」
 そう思って、鉄砲打ちは一発撃ちました。
 ズドーン!
 すると、その鉄砲の玉はジグザグに飛んで行って、何と全部のカモに当たったあげく、岩に跳ね返ってやぶへ飛び込んで行きました。
「こりゃあ、大漁だ! 曲がった鉄砲のおかげで、大もうけが出来たわい」
 鉄砲打ちはジャブジャブと池に入ると、十六羽のカモを残らず捕まえて岸に上がりました。
 すると、ふんどしの辺りが、いやにムズムズします。
「何だ?」
 ふんどしを見ると、大きなウナギとナマズが三匹ずつ中で暴れていました。
 ついでに、わらぐつの中もムズムズするので脱いでみると、中からカニやドジョウが出て来ました。
「何とも、こんな事もあるもんだな。さあ、もう帰るか」
 鉄砲打ちが引き上げようとすると、やぶの中で何かが暴れています。
「何だ?」
 見てみると、岩に跳ね返った鉄砲の玉が命中したクマが、苦し紛れに土を引っかいていました。
 クマが引っかいて出来た穴には、おいしそうな山イモがのぞいています。
「ほう。ついでに、これも取っていこう」
 こうして鉄砲打ちは、山イモと、クマと、カニとドジョウと、ナマズとウナギと、十六羽のカモを背負って山を下りて行きました。

おしまい


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