こういうのを見ると、カープは永久にソフバンには勝てないなという気になる。
>1日楽しめるボールパーク
という意識はマツダスタジアムが先行したとも言えるけど、カープの場合はいかんせん「そこだけ」。
チーム「全体」ではないし、周辺地域をも含めた開発への意欲も無かったから、ソフバンとの差は歴然としているわな。
ホークスが今「巨大な2軍施設」を作る理由 総工費50億円、「筑後ファンクラブ」も新設
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/b4/f2361c1f98742ba34266740f206c5ac2.jpg)
© 東洋経済オンライン 写真中央がメインスタジアム、左が第二スタジアム、その上の白い建物は屋内練習場と寮。写真右…
2015年、レギュラーシーズン90勝49敗4分、日本シリーズ4勝1敗と圧倒的な強さで、2年連続日本一を達成した福岡ソフトバンクホークス。地元ファンの期待を上回る戦いぶりの中で、特に光っていたのは、トリプルスリーを達成した柳田悠岐選手、武田翔太投手など、若手の活躍だろう。
そんな「若鷹」が育ったファーム(2・3軍)の本拠地移転で、福岡はまた新たな盛り上がりを見せている。
1989年にホークスが福岡に移転して以来、ファームは福岡市東区にある「福岡市雁ノ巣レクリエーションセンター野球場」を本拠地としていたが、老朽化などの問題があり、球団は移転・新設を検討。ファーム本拠地球場と関連施設を新規に整備するため、2013年夏に用地募集を行った。
これに対し5県33自治体が立候補し、2次審査まで残ったのは北九州市、宮若市、福岡市、筑後市の4自治体。検討の末、2013年12月、移転先は筑後市に決定した。現在、メインスタジアム、サブグラウンド、屋内練習場などの工事が着々と進められ、3月15日に竣工式、19日には「こけら落とし」のウエスタンリーグ公式戦が行われる予定だ。
「めざせ世界一」をスローガンに掲げ、巨人のV9を超えることを目標としているホークス。常勝するためには、たとえ主力選手が負傷などで欠けても勝てるだけの戦力、つまり選手層の厚みを培うことが重要である。
ホークスはこれまでも、内川選手や松坂投手をはじめ、他チームで活躍した選手や海外からの大型補強を行ってきた。補強には選手自身の活躍はもちろん、在籍選手、特に若手にとっての「越えなければならない壁」として、成長への大きな刺激となることが期待される。
一方で、ドラフトや育成から「5年後に活躍する選手」を育てる仕組み作りも、大きなテーマの一つだ。2011年からは3軍制を導入して若手の実践の場を増やすなど、選手育成への取り組みも強化している。
ファームで鍛えられた若手が活躍することで、たとえレギュラーといえど「いつ取って代わられるかわからない」という状況が生まれる。その緊張感も、今のホークスの強さを支える大きなファクターといえそうだ。
しかし、育成強化には大きな障壁があった。本拠地としていた雁ノ巣のグラウンドは老朽化が進んでいることに加え、国有地の上に福岡市の施設が建つという複雑な権利構造で、球団自身による改修ができない。合宿所からは約7キロ離れており、ナイター設備もなく、近隣が住宅地のため夜間の自主練習も叶わない状況だった。
さらにはサブグラウンドもなく、3軍の試合はその都度、近郊の球場を借りて行っていた。何より野球に打ち込みたい若手選手にとって、とてもじゃないがベストな環境とは言えないだろう。
今回新設される『HAWKSベースボールパーク筑後』には、球団が考える理想の育成環境が整備される。テーマとして掲げたのは「1・2軍が同じ環境で練習できる」こと。土地は筑後市から20年間無償貸与され、球団が施設の建設を行う。総工費は約50億円だ。
メイン球場となる『タマホーム スタジアム筑後』は、1軍本拠地『福岡 ヤフオク!ドーム』と同規模(両翼100m・中堅122m)で、人工芝やナイター照明6基を備える。
サブ球場もグラウンド面積はメイン球場と同じ。さらに日本最大の屋内練習場(ブルペン6箇所・バッティングマシーン4レーン)を併設し、最新のIT技術を導入したトレーニング施設も完備。1軍選手の練習にも対応できる充実した設備になる。
そのほかにも、クラブハウスや42人宿泊可能な選手寮を敷地内に整備し、文字通り「野球漬け」の環境が用意されるのだ。
2015年のドラフトを経てホークスに入団した6人は、全員が高校生。彼らは「筑後1期生」として、与えられた環境をフルに生かし、次世代ホークスを担う力になることが期待されている。
新施設にはもう一つのコンセプトがある。それは「1日楽しめるボールパーク」。一般向けのエンターテインメントとしての認知・収益向上も目指しているのだ。
メインスタジアムにはLEDビジョンや3000席の観客席を設置し、これまで無料だった2軍戦を有料化する。参考までに、現在2軍戦を有料化している巨人や日本ハムの入場者数は、多い日で1600人程度。雁ノ巣で行われた昨シーズンのホークス2軍最終戦は、過去最多の1550人だった。
雁ノ巣にはなかった一般用駐車場も300台分、大型バス用は5台分を完備した。すでに「ホークス筑後ファンクラブ」まで始動しており、選手とファンの交流イベントも計画されている。また、家族連れなど幅広い層に足を運んでもらえるよう、野球以外のアミューズメントの導入も検討中だという。
筑後市は福岡県南部に位置する田園都市で、福岡市にあるヤフオク!ドームからは九州自動車道経由で1時間圏内。その上、建設地のすぐ近くには九州新幹線が停車するJR筑後船小屋駅があり、博多駅から24分という交通手段の多様性も強み。ドームで試合が行われる日は周辺の交通渋滞が見込まれるが、鉄道にはその心配がない。昼に筑後の2軍戦に出場した選手が1軍のナイターにベンチ入りすることも可能だ。
また、福岡と鹿児島、長崎と大分、縦横の交通の結節点に近いことも利点の一つ。九州各地からアクセスしやすい場所に本拠地を置くことで、「九州のホークス」のイメージ強化も期待できる。
今回のファーム誘致には、「地域活性の起爆剤」として地元の期待も大きい。球団広報によると、候補地選考においては自治体と地元住民の「ホークスを筑後へ」という熱い想いも決め手となったという。
誘致決定後、筑後市は約14.5億円をかけて民有地の取得と土地の造成を実施。1月18日には筑後市と球団の間で「地域包括連携協定」が締結され、スポーツ振興や観光振興、情報発信等においての相互協力を約束した。
今後は選手による野球教室開催や地域スポーツイベントへの選手の参加、試合時に本拠地内で市の観光・特産品PRを行うことなどが予定されている。
誘致活動においては筑後市・柳川市・八女市・大川市・みやま市・三潴郡大木町・八女郡広川町の5市2町からなる「筑後七国」の協力体制が組まれた。筑後市自体は企業誘致の成功もあり人口が増加しているものの、全体として人口減少・高齢化が著しいこのエリアで、地域の特色をいかにファームの活動と絡めていけるかが、今後の大きな課題になるだろう。
今回のファーム本拠地新設は、これまで野球ファンではなかった地元の人達など、新たなファン層の獲得にもつながっているようだ。筑後市民の若い女性に話を聞くと、建設工事の進捗をすらすらと説明してくれた。「わが街のファーム」への期待は、すでに高まっている。
(写真:(C)SoftBank HAWKS)