一概に日程をずらせ、短縮しろという意見には賛同し辛いな。
1ヵ月のキャンプでファンになってくれたら、定着してくれたらお互いに美味しいじゃないか。
まぁ基本は“カネが動く”ということもあるだろうけど。
日刊ゲンダイ 1月19日(火)9時26分配信
プロ野球はあちこちの球団でスタッフミーティングが行われ、キャンプの一、二軍メンバーが発表されている。
いよいよ球春到来といった雰囲気の中、ある選手のキャンプ日程が正式決定した。広島の黒田博樹(40)が日南キャンプ途中でチームに合流。2月16日からの最終クールに合わせて参加する。広島復帰1年目の昨年は、沖縄の2次キャンプから参加していた。
黒田はアメリカ帰りの超ベテラン。実績も申し分ない、バリバリの元メジャーリーガーだ。キャンプの参加時期も本人任せだから途中参加なのだろうが、そもそも若手もベテランも一緒くたにして2月1日にキャンプインする必要なんてあるのか。
昔はシーズンが終わると同時に遊び放題。ゴルフやマージャンに明け暮れる選手も珍しくなかった。10月からほぼ4カ月間、ほとんど体を動かさずにキャンプ入りするベテランもザラだった。
しかし、選手の意識は時代とともに確実に変化した。
「個人差はあるにせよ、定期的にジムに通うなどオフの間も体を緩めない選手が圧倒的に増えた。例外は野球名門校とはいえない、地方の公立校から来た高校生ルーキー。夏の甲子園予選が終わって半年近く遊びほうけ、ほとんど何もせずに1月の新人合同自主トレに参加するのも中にはいます。ただ、そんなのはごく一部。選手の大半はオフの間、みっちりトレーニングを積んでますよ」とは在京球団のあるコーチだ。
それなら若手もベテランも2月1日に全員集合でキャンプインする必要はない。
■1億円の無駄遣い
メジャーはバッテリー組が2月20日前後にキャンプイン。例えば田中将大のいるヤンキースは2月19日、マエケンのドジャースは20日にスタートする。野手組はもっと遅く、ヤンキースとドジャースは25日、最も遅いツインズは27日に野手も交えたキャンプの全体練習を始める。それから1週間程度、ツインズはたった3日間、連係プレーなどをこなして、3月上旬にはオープン戦に突入する。
「いまの選手たちは、われわれの時代と比べて給料もたくさんもらっているし自覚も違う。体づくりはもちろんのこと、体の手入れ、トレーニング、食事にいたるまで、しっかり考えて取り組んでいる。なのに2月1日にそろって全体練習を始めるなんてナンセンスです」と、評論家の高橋善正氏がこう言った。
「内野の要ともいうべき二遊間がそろって新しくなったとか、早めに連係を準備するケースもあるにせよ、それにしたって2月1日からやる必要はありませんよ。10勝も15勝もしているピッチャーがキャンプの1カ月間で1000球とか2000球投げ込むなんてのもおかしいし、連係プレーといっても野手のフォーメーションはだいたい決まっていて、最終的には個人の技術が重要です。ベテラン中心のチームもあれば、若手が主力を占める球団もある。なのに12球団がそろって丸々1カ月間、キャンプをやる必要がどこにあるのか。要するにプロ野球界は選手を信頼していない。子供扱いしているのです。キャンプ初日、全員にバント練習をやらせるなんてのがいい例ですよ。選手の意識も変わってきたわけだし、メジャーのようにキャンプを短縮してもよいのではないか。おのおので準備をして、短期間で実戦に入る。そうやって付いてこれない選手は淘汰される。それがプロとして本来、あるべき姿だと思いますけどね」
宮崎や沖縄に行って1カ月間、キャンプを張る費用は球団によって異なるものの、ざっと1億円といわれる。海外に行けば、それ以上だ。
大金をかけ、なおかつ時流にそぐわないキャンプをやるのは、高橋氏も指摘するように「ナンセンス」以外の何物でもない。キャンプに途中参加する黒田を元メジャーリーガーのベテランだからと特別視するのではなく、「プロ野球界は黒田のキャンプを参考にすべき」(前出の高橋氏)だ。