商売は元旦のイメージじゃない。
客が居る以上は…というけど、店を開けなきゃ良いだけのこと。
福袋商売にしても、どうせ殆どは売れ残りの在庫一掃バーゲン
と何ら変わりはないわけで、元旦からこぞって買い物に行く神経が
猫にはむしろ異常に映る。
日持ちのするおせちを食べてゆっくりするのが正月、元旦だと古いタイプの猫は思う。
産経新聞 1/1(日) 16:45配信
福袋などを楽しみに多くの客が集まる「新春初売り」は、家電量販店や百貨店にとって書き入れどきだ。一方で、従業員のワークライフバランス(仕事と生活の調和)を重視し、家電量販店のヤマダ電機は元旦を休業にしたほか、一部の百貨店が3日に初売りをずらすなど、元旦営業のあり方を見直す動きも出てきた。元旦に初売りするビックカメラの石川勝芳執行役員と博報堂生活総合研究所の夏山明美上席研究員に「元旦営業の是非」を聞いた。(大柳聡庸、黄金崎元)
■正月の買い物はレジャー ビックカメラ執行役員 石川勝芳氏
--元旦営業のメリットは
「元旦だけでなく年中無休で営業することで、お客さまに安心を感じてもらえる。家電量販店は家電だけでなく消耗品や日用品、化粧品、薬なども販売している。必要な時に、いつでも購入できるメリットがあるからだ。例えば、元旦に急に年賀状を返さなければならない時にも、プリンターのインクやはがきを買うことができる」
--元旦の買い物客は多いのか
「初詣の帰りに家族連れで来る人もいる。お年玉をもらった子供がおじいちゃんやおばあちゃんに連れられて来るケースもあるようだ。お年玉の使い道は子供ならおもちゃやゲーム、中高生は携帯音楽プレーヤーなどデジタル機器が多い。ゲームなどの販売額はクリスマスに次いで多い。全体の売上金額も、元旦は1年を通じ上位に入る」
--最近は訪日外国人も増えている
「外国人のお客さまは直近で10%程度増えている。特に年末年始の休暇を利用して来日する外国人も多い。炊飯器などを複数購入する、いわゆる“爆買い”はなくなったが、化粧品など消耗品はよく売れるようになった。昨秋以降の円安傾向は訪日客にとってメリットが大きい。今年の元旦も訪日外国人向けの売り上げに期待している」
--元旦営業は日本の個人消費にプラスに働くか
「元旦の買い物は日本の最大級のレジャーになっている。正月に購入する福袋は日本の文化だ。ビックカメラでは数千円から100万円を超えるものまで50種類程度の福袋を用意しており、店に来て選んで買う楽しみがある。最近では買った福袋の中身を写真に撮り、ツイッターなど会員制交流サイト(SNS)にアップして楽しむ人も増えている。こうしたお客さまの期待に元旦営業で応えることが、個人消費にもプラスに働くと考えている」
--正月に休みたい従業員もいる
「完全シフト制により、正月三が日は基本的に交代で休んでいるので問題はない。シフトは2カ月前に決まるが、例えば元旦は家族と一緒に過ごしたいと思えば、希望を出すことで元旦に休みを取れる。一方で元旦に働いても構わないという従業員もいる。また元旦には手当ても出しており、従業員は十分に確保できている。原則として元旦は通常通り午前10時に開店するが、夜は買い物客が少ないこともあり、通常より1~2時間早い午後8時には閉店する」
--ヤマダ電機など同業他社で元旦を休業にする動きもある
「他社の施策についてはコメントする立場にない。他社の動きとは関係なく、お客さまがいる以上は元旦営業で対応することが当社の使命だと思っている。元旦の福袋などを楽しみにする人がいる限り、開店するのが大切だ」
〈いしかわ・かつよし〉昭和39年、静岡県生まれ。52歳。静岡市立高校卒。63年、ビックカメラ入社。執行役員有楽町店店長などを経て、平成25年4月から営業本部長。全国のビックカメラ店舗の運営を統括する。
■業界一斉休業の対応必要 博報堂生活総合研究所上席研究員 夏山明美氏
--元旦営業をどう評価するか
「今の日本人は昔よりも忙しく、疲れている。流通や小売り、外食業界の方も元旦ぐらいは休ませてあげてほしい。当社が行った今年の行動を振り返る調査では『オフの時間に休んだ年』と、『気分転換で出かけた年』の二者択一の質問に前者の回答が約7割を占め、後者が約3割だった。来年に力を入れたいことについて聞いた調査でも『睡眠・休息』がトップだった」
--なぜ疲れている日本人が増えているのか
「バブルが崩壊した平成4年に共働きと専業主婦の世帯数が逆転し、共働き世帯が年々拡大している。仕事をやめたいが、家計を支えるために働いている女性が多い。今後も人手不足で共働き世帯が拡大し、さらに疲れている人が増えると見込まれている」
--疲れている日本人が増えると、消費面でどのような変化が起きるのか
「共働きが増えた結果、休日は外出せずに、家族と一緒に過ごす時間を増やしたいと考える傾向が強まっている。昔は人が集まるセールや初売りに出向いて買い物をしていたが、そんな元気のある人が減ってしまった。またスマートフォンが普及し、好きな時に自分で検索して安い商品を購入できるようになった。疲れている人はネットで買い物をする傾向が強い」
--一昨年、三越伊勢丹グループの一部店舗が初売りを1月2日から3日に変更すると発表した際、会員制交流サイト(SNS)では称賛の声が多かった
「それも疲れている人が多いからだと思う。ネットの声の方が一般の感覚に近く、正月ぐらいは休んだ方がよいと考える人が多いのではないか。ネットの普及で、消費者がさまざまな情報に接する機会が増えたことで価値観が多様化し、横並びのセールや行事などを求めなくなっている」
--最近は商品を得る「モノ消費」から体験やサービスを求める「コト消費」に消費者の志向が変わってきた
「消費者がモノを買うだけでは満足しなくなり、横並びのセールが通用しなくなっている。店員も休む時間がなければ、生活者の感覚がわからなくなり、モチベーションが上がらない。競合店に行く時間がないと、お客さんに楽しんでもらうコト消費の良いアイデアも生まれてこない」
--百貨店では元旦営業しない店舗が増えたが、量販店やスーパー、外食業界では営業するケースが多い
「さまざまな価値観があるので、何が正解とはいえないが、量販店やスーパー、外食業界は各社が横並びで営業しているので、休めないという事情があるのかもしれない。業界団体などが率先して、一斉に休みをとるなどの対応が必要ではないか」
〈なつやま・あけみ〉昭和39年、大阪府生まれ。52歳。京都女子大短期大学部卒。59年に博報堂入社。マーケティング部門で調査分析、戦略立案などを担当し、平成19年から生活総合研究所上席研究員。