そりゃあね、最近は全然出番無いし物足りないから、やっぱり佐藤にはピッチを駆け回って欲しいと思うよ。
そうでなくても浅野が去り、新加入のロペスはまだ馴染みきってない。
負傷した宮吉は今季間に合うかどうかわからないし、先日はウタカが足に異常を訴えた中では皆川と佐藤、
ウタカ、ロペスで乗り切ってもらわなきゃいけないんだし、その中でも出番が無いとなれば…
あまりの急激な(環境の)変化に戸惑っているのは本人だけじゃなくファンだってそうなんだけどなぁ…
森保と合わなくなってるのかなぁ?こんな記事が出ること自体、なんか寂しい。
FW3番手の扱いに佐藤寿人が吐露。「必要としてくれるところへ…」
開幕2試合目の名古屋グランパス戦(3月6日)で中山雅史と並んでいたJ1最多得点を「158」に更新し、2016シーズンもゴール量産が期待されていたサンフレッチェ広島の佐藤寿人。だがその後、2ndステージ・第8節を終えた段階で、今季は12試合・3得点という成績にとどまっている。
そのうち、スタメン出場はわずかに6試合のみで、ベンチ入りすらできない試合も少なくない。長年にわたり広島のエースとして君臨してきた男に、今、いったい何が起きているのか?
今年で34歳となった佐藤には、ここ数年、世代交代の波が寄せていたのはたしかだった。とりわけ、昨シーズンは34試合すべてにスタメン出場しながら、フル出場は1試合のみ。ブレイクの予感を漂わせていた浅野拓磨との途中交代が恒例行事となっていた。
今季の焦点は、その浅野との1トップのポジション争い。しかし、川崎フロンターレとの開幕戦でスタメンに名を連ねていたのは佐藤であり、まだまだ健在であることをアピールしていた。
佐藤にとって誤算だったのは、3月12日の湘南ベルマーレ戦(第3節)で負傷してしまったこと(この日は佐藤の誕生日だった)。大事にはいたらなかったものの、続く大宮アルディージャ戦からベンチ要員となり、この間に本来、シャドーとしての起用が考えられていたピーター・ウタカが1トップに入ってゴールを量産。浅野ではなく、この新外国籍選手に佐藤はポジションを奪われたのだ。
ただし、両者がポジションを失ったのは、35歳を超えてから。一方の佐藤は、現在34歳。ケガを抱えているわけでもなく、身体のキレも備わっている。フィジカル的な衰えが見られたふたりのレジェンドとは異なり、「まだやれる」という想いがあるぶん、佐藤が抱えるストレスは相当なものだろう。
8月14日に行なわれた湘南ベルマーレとの一戦でも、スターティングメンバーに佐藤の名前はなかった。77分にウタカが負傷でピッチを退いても、代役に指名されたのは長身ストライカーの皆川佑介。1点リードしている状況で守備を重視したい事情はあったにせよ、佐藤は「FWの3番手」という扱いを受け、ベンチに座ったままタイムアップの笛を聞いている。
5月上旬まではACLがあったため、佐藤はこのアジアのコンペティションで起用されていたものの、グループステージで敗れてリーグ戦1本の状況となると、実戦から遠ざかることになる。5月のリーグ戦出場はわずか19分。6月18日の浦和レッズ戦(1stステージ・第16節)で久しぶりに途中出場を果たし、今季2点目のゴールを決めると、試合後のインタビューで堪(こら)えきれずに思わず涙を流してしまう場面もあった。
佐藤が精神的に追い詰められていたのは、間違いなかった。
佐藤にも好転のチャンスがなかったわけではない。ボランチや最終ラインにケガ人が続出した状況下で、広島はボランチを1枚削って2トップに変更。佐藤はウタカとコンビを組み、スタメンに戻っていた。もっとも、この応急処置的な布陣変更はわずか3試合で見切りをつけられ、システムが1トップに戻ると、佐藤はふたたび出番を失った。
“エース失墜”の歴史を紐解けば、たとえばヴィッセル神戸に所属していた三浦知良は、2002年の2ndステージから新外国籍選手の加入もあって出場機会の減少とともに得点数が減り、2004年からは途中出場がほとんどとなった。また、ジュビロ磐田の中山雅史は2003年に恥骨結合炎が再発し、以降はケガとともにキャリアを歩んでいくことになった。
「正直、モヤモヤしたものはありますよ」
おそらく、話しかけられたくはなかっただろう。それでも、佐藤は気丈に振る舞い、現在の心境を吐き出した。
「現状では、追いかける状況のときにしか出られない。リードしている場合は、今日のような起用になる。そうはいっても、自分が出るためにチームに失点してほしい、なんて思うわけにはいかないですからね。でも、点を獲った次の試合でも出られなかったし、1週間試合に向けて準備して、試合中はアップだけで終わってしまう。なんのためにやっているのか、と思うこともありますよ」 長年エースとして君臨してきたプライドは、現状を許さない。少しためらいながら、佐藤はこう続けた。
「自分を必要としてくれているところに行こうか……と考えたこともある」
広島の歴史を築いてきた選手としては、実に重い言葉だろう。おそらくこれを書いてしまうと、佐藤の立場がさらに危うくなってしまうのではないか――。その旨を告げると、「そこはサッカー選手なら、当然の想いですから」と、こちらの想いを制した。
結局、佐藤は広島に留まった。移籍市場はすでに閉まっているため、今季が終わるまで広島でプレーすることが決まっている。
今後も試合に出られる保証はない。そのなかで、何ができるのか……。苦しい状況下での立ち振る舞いこそ、真のプロフェッショナルの在り方を決める。
味方が点を獲れば、喜びをあらわにして仲間を迎え、危険なファウルにさらされれば、ベンチを飛び出して心配そうに見つめる。数々の得点記録を作り、広島にいくつものタイトルをもたらしてきたリーダーは、ベンチからチームの勝利を願い、いつ出番が来てもいいように、心身ともに万全の準備を整えている。
「選手を決めるのは監督なので、そこは自分ではどうしようもないこと。そこを考えてもストレスが溜まるだけなので、自分ができることを考えるだけですよ」 湘南戦の翌日、佐藤は同じ湘南とのサテライトリーグの試合に臨んでいた。午前10時半キックオフ、真夏の炎天下での一戦は34歳となったベテランには堪(こた)えるだろう。それでも、出番が訪れることを信じて、アピールを続けるだけだ。
広島は現在、年間勝ち点で4位につけ、チャンピオンシップ出場の可能性を残す。ほかにもルヴァンカップ(旧ナビスコカップ)、天皇杯とタイトルを目指す戦いが続く。試合日程が詰まるシーズン終盤は、総力戦となるだろう。
そこに求められるのは、チームのよりどころとなる大黒柱の存在だ。大舞台で結果を出し続けてきたこの”小さなエース”が、ふたたびクローズアップされる日は、間違いなく訪れる――。