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Channel: 灰皿猫の日々是放言暴言ブログ~難癖・厭味が怖くてブログが書けるか!!~
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7月7日の「日本の昔話」

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広島ブログ





                                                     犬飼い七夕

 むかしむかし、あるところに、一人の犬飼いがいました。
 犬飼いとは、狩りで使う猟犬を育てる仕事です。

イヌ飼い七夕

 ある日の事、犬飼いがお気に入りの犬を連れて池のそばを通ると、犬が急に吠え出したのです。
「こら、いったいどうした? ・・・あっ!」

イヌ飼い七夕

 見ると、美しい娘が池で水浴びをしているではありませんか。

イヌ飼い七夕

「こんな美しい娘、今まで見たことがない。
 あれはきっと、うわさに聞いた天女(てんにょ)だな。
 天女なら、きっとどこかに羽衣(はごろも)を脱いでいるはず」
 犬飼いは、犬に命じました。

イヌ飼い七夕

「早く、あの天女の羽衣を探し出せ」

イヌ飼い七夕

 さて、しばらくして天女が池からあがってきましたが、どうした事か大切な羽衣がどこにも見当たりません。
 犬飼いが、羽衣を隠してしまったからです。
 羽衣がなければ、天女は天へ戻れません。
「どうしよう・・・」
 天女が困っていると、犬飼いが現れて言いました。

イヌ飼い七夕

「お困りの様だが、どうしました?」
「はい、実は・・・」
 天女が事情を話すと、犬飼いが言いました。
「それなら羽衣が見つかるまで、わしの家にいればいい」
 こうなれば、仕方ありません。

イヌ飼い七夕

 行くところのない天女は、犬飼いの家に行きました。

イヌ飼い七夕

 そして、犬飼いのお嫁さんになったのです。

 二人が仲良く暮らして、数年がたちました。

イヌ飼い七夕

 ところがある日、嫁になった天女が隠してあった羽衣を見つけてしまったのです。
「ひどい! あんまりだわ!」

イヌ飼い七夕

 天女はすぐに羽衣を身につけると、空高く舞い上がって行きました。
 それに気づいた犬飼いは、

イヌ飼い七夕

「待っておくれ! 行かないでおくれ!」
と、声を張り上げましたが、天女はそのまま空の向こうへ消えてしまいました。

 お嫁さんの天女がいなくなってから、犬飼いは毎日毎日、天女の事を考えていました。

イヌ飼い七夕

「どうすれば、妻を連れ戻せるだろうか? どうすれば・・・」
 そこで犬飼いは、占い師のおばあさんのところへ相談に行きました。
 すると占い師は、こう言いました。

イヌ飼い七夕

「連れ戻す事は出来ないよ。だが、お前の方から訪ねて行けばいい」
「訪ねて行けと言っても、どうやって天に行けば良いのだ?」
「それは簡単さ。
 天女の所へ行くには、一晩で百足のわらじを作れば良い。
 その百足のわらじを土に埋めて、その上にヘチマの種をまいてごらん」

イヌ飼い七夕

 それを聞いた犬飼いは、さっそく家に帰るとわらじを作り始めました。
(妻よ、待っていろよ。必ず迎えに行くからな)
 百足のわらじを作る事は、とても大変な事です。
 犬飼いは休む事なく、わらじを作り続けました。

イヌ飼い七夕

 でも夜が明けた時には、九十九足しか出来上がっていませんでした。
「九十九足しかないが、百足とは、あまり変わるまい」
 そして占い師の言葉通りに、わらじを土に埋めてヘチマの種をまくとどうでしょう。

イヌ飼い七夕

 ヘチマのつるがドンドンドンドン伸びて、今にも天に届きそうになりました。
「よし、お前も付いて来い」

イヌ飼い七夕

 犬飼いは犬と一緒に、ヘチマのつるを登って行きました。
「もう少しだ。もう少しで妻に会えるぞ」

イヌ飼い七夕

 けれど、もう少しで天に届くところで、ヘチマのつるは伸びるのを止めてしまったのです。

イヌ飼い七夕

「何という事だ。わらじが一足、たりないばかりに!」

イヌ飼い七夕

 犬飼いがくやしがっていると、後から付いて来た犬が犬飼いの頭をピョンと飛び越えて、天へ飛び上がったのです。
 そして犬は、犬飼いにお尻を向けると、
「それ、だんなさま」
と、長い尻尾をたらしてくれました。

イヌ飼い七夕

「ありがたい」
 犬飼いは犬の尻尾をつかむと、何とか天にたどり着きました。

イヌ飼い七夕

 その後、犬飼いは彦星に、お嫁さんの天女は織姫になったという事です。

イヌ飼い七夕

おしまい


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