避難所に持ち込んで栄養補給の足しにしてもらうとか出来ると良いんだけどね。
時事通信 4月27日(水)7時1分配信
熊本地震で被害を受けた熊本県南阿蘇村は、豊富な湧き水を利用したイチゴの生産が盛んだ。
例年ならイチゴ狩りを楽しむ観光客でにぎわう時期だが、村の農園では予約キャンセルが相次ぐ。廃棄も余儀なくされそうだが、被災者への無料提供や染色などにも活用されている。
村のイチゴは12月中旬~5月中旬が収穫シーズン。「南阿蘇トーマス農園」では、期間中にビニールハウス1棟で5万個のイチゴが採れるといい、経営者の後藤巳幸さん(62)は農園脇に、「義援金」と書いた缶と共に採れたてを並べている。栽培には湧き水を使っており、断水の影響もなかった。
被害の大きかった河陽地区の栃原哲子さん(73)は「カップラーメンなどが多く、果物は不足しがちなのでありがたい」と、ポリ袋に詰め込んだ。孫の颯希さん(9)がその場で、口の周りを真っ赤にして頬張っていた。後藤さんは「甘さに癒やされるはず」と話す。
ただ、観光農園はゴールデンウイークが一番の書き入れ時。予約30組が全てキャンセルになり、後藤さんは「大事な時期を逃してしまう」と思案に暮れる。
「南阿蘇ふれあい農園」にも大きな被害はなかったが、社長の田尻徹さん(34)が地元消防団の活動に追われ、営業を休止したまま。農園を地元住民向けに無料開放し、200人ほどが訪れたが、ビニールハウスには大量のイチゴがなっている。食べ頃は1週間程度といい、田尻さんは「ゴールデンウイークには再開したいが、主要道路も寸断されており客が来るかどうか。どんどん熟れていくので最終的には破棄しかない」と嘆いた。
草木染工房「香房やまぶどう」を営む三浦靖彦さん(70)と妻小波さん(68)は、知人の農家から約12キロのイチゴを受け取った。廃棄の予定だったが、染色への活用を持ち掛けられたという。
三浦さんは約10年前から、スイゼンジナや肥後ナスなど郷土の伝統野菜の廃棄品で染め物をするようになった。イチゴは過去に試したことはあったが、大量に染めるのは初めて。煮詰めたイチゴに布を浸して乾燥させる工程を2日間繰り返すと淡いピンク色になる。約1週間かけてスカーフ数十点を染めて販売する予定といい、「完成したら農園にも持って行きたい」と話す。